藤城清治 愛生きるメルヘン展を観た

宮崎県立美術館にて

 

2020年の国文祭・芸文祭のプレイベントらしい。

 

ここには転載してはいけないのだろうけど、影絵の作家さん。御年94歳!

何で見たかは分からないぐらいに、当たり前に身近なところに存在していた影絵作家で、おそらく童話とか子供むけの本とかで見ていたのだろう。

 

その時期の作品は、なんともなつかしいノスタルジーの世界に浸ることが出来た。

 

しかし、この人の画業全体として展示を見ると、また違う側面があった。

 

圧倒的な作業量と、光の使い方の上手さ。ガラス越しに伝わってくる光の美しさ。そのあとの常設展の作品群が、あまり明るい場所にはなかっただけにそのコントラストが凄まじい。

 

この人の好きなモチーフ、小人、カエル、ネコ。

小人はなつかしく好きだったけど、カエルはよくわからない。ネコは微妙か。

 

あとは、わがふるさと宮崎と神話をモチーフにした画の数々。

とくに、高千穂峡には圧倒された。あれの複製(というか通常印刷のポスターで十分)こそほしかったのだけど、売ってないし、小さい複製画で、10万円を超すという。とてもじゃないが手が出ない。通常の複製画(何号というのかわからないけど、A3版ぐらいの大きさ)でも、50万円ぐらい。通し番号がついているから十分に価値があるのだろうけど、まぁ私には手が出ない。

 

いずれにせよ、幻想的な光景が多くあり、その中で小人とか懐かしいキャラがあり。

 

ただ、年が年だけにこの人も戦争の影を引きずっていた。

知覧で古い友人の事を思い作った作品には、自分の画業の集大成と書いてあったが、お気持ちとしてはそうなのだろうけど、という。

存在感というのか、思いというのか、はヒシヒシと伝わった。

 

誰かが言っていたが、作者の思いと作品とは分けて考えないといけない、というのはこういうことを言うのかもしれないと思った。

(とはいえ、金魚作家の人への感想は、これとは逆向きの感想にも思えるが)

 

いずれにせよ、2020年にあるであろう作品展も、そして、宮崎空港の作品もこれから観るのが楽しみだ。

 

 

と、あとはゲスな感想。

物販のスペースが大きい事、そこに携わる人々の多いことに驚いた。

そして額が高いことに、いささか興ざめ。

 

この人の作品の作り方は、昔の白黒時代は違うのかもしれないが、今は大きな工房で沢山の人を使い、そしてデッサンするときもずいぶんな時間をかけているようで、それらを構成するためには膨大な時間とカネが必要になるのだろうから、それはそれでしょうがないことなのだろうが、そうはいってもなぁ、というのが正直な気持ちではある。

 

さらに言えば、勿体ないなぁ、と。氏の作品をもっと簡単にいきわたらせ、そして鑑賞することは出来ないものか、と感じた次第。