グリーンブックを観た つづき

印象的なセリフが、"Dignity prevails always" というものです。

"You only win when you maintain your dignity. Dignity always prevails."

という流れの中でのセリフです。

 

字幕がどういうものだったか、記憶にないですが、

「品格があれば勝つ」「勝つためには品格が要る」

でしょうか?

 

ああ、だからこそ、ドクは常に上品であろうとしたのだ、と。

そして、ローザ・パークスを思い出しました。

wikipediaの記事は

ja.wikipedia.org

詳しいことは、wikiの記事を読んでもらえば、なんですが、

だから、彼女はどんな目にあってもバスに乗り続けたのだな、と。

 

ドクは、常にスーツを着て、ネクタイをしめて。

安宿でくつろぐ時でさえ、スーツのまま。

目の前で、黒人たちが寛ぎ楽しんでいるときにも。

 

ドクの姿は別として、ローザ事件は、アメリカ社会に大きな影響を与えます。

破壊的なと言ってもいいぐらいの。

この事件をきっかけに、黒人差別の社会システムを黒人が拒否するようになり、

そして様々な法律を変えていくことになるわけです。

 

公民権運動はその後も様々な事件を経ます。

 

有名どころで行くと、リトルロック高校事件というものもあります。

法律では、黒人と白人の融合教育が規定されたにも関わらず、これを拒否しむしろ先導した知事が、黒人学生がこの高校に通学するのを拒否し、そのために修平を派遣。

これに対して、ワシントンのとった行動は、国軍の派遣。

高校のころ、当時のニュース映像を見ましたが、知事は白人デモ隊の先頭に立ち、大きく通せんぼをし、黒人を拒否する。

 

結果的には直接的な暴力による衝突は起きなかったわけですが、しかし、いざとなったら軍隊を派遣してでも、という双方の意志の強さとその映像のインパクトの強さ。

 

その後、ワシントン大行進などに続くわけですが、やはりdignityが大事なのだと。

 

と思った理由もあるにはあります。

 

ちょうど直前に、こういう本を読みました。

 

マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年4月 (100分 de 名著)

マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年4月 (100分 de 名著)

 

 高校の世界史の授業でならった、古代ローマの黄金期(だと思うんですが)の、五賢帝時代の最後の皇帝、マルクス・アウレリウス・アントニヌスの『自省録』の解説書というか、解説番組のテキストです。

古代ローマで最高の権力を持っていた皇帝でさえ、こんなに苦しみ自らを律していたのか、と。

最近色々と不愉快な事が続いていて、周りだけではなく、それに対して対応できない自分自身に対してその不甲斐なさに、やりきれなさを覚えていただけに大変感銘をうけ、そして、なるほどなぁ、と痛感しながら読んだのです。

 

で、この映画を見て、ドクの姿が、マルクス・アウレリウス・アントニヌスと重なって。腹のそこから、なるほどなぁ、と痛感いたした次第。

 

解説している岸見一郎という人は、「アドラー心理学」の開設者として著名な人です。

 

さておき、心が折れそうになることがとても多い僕にとって、この "Dignity always prevails" というフレーズが、とても胸をうったのです。

 

また、長くなりました。

続きます。